デジタル標本館へようこそ

当標本館は平成2321日に開館いたしました。当標本館の目指すところは

1.    島根県の生物(植物、動物、微生物)に関するできるだけ多くの情報を収集し、研究者はもとより地域の皆様に情報を提供する、

2.    自然豊かな島根県を国内外の方々に知っていただくための情報発信基地となる、

3.    生物多様性の保全と環境問題に関する普及教育に必要な情報を提供する、

4.    島根県の生物資源の有効利用と地域産業振興に有益な情報を提供する、

です。皆様に愛される標本館になるべく頑張っていこうと考えております。

植物標本館について

■誰が作成者しているの?

植物標本館は島根大学生物資源科学部 秋廣高志研究室と()T.R.Workersの共同研究により作成しています。

■さく葉標本について

本デジタル標本館に収蔵されているデジタル標本は、島根県立三瓶自然館、鳥取県立博物館、陸前高田市博物館に収蔵されているものを、デジタル化の許可を頂きデジタル化させていただいたものです。

■検索システム どんな検索ができるのか?

和名、学名、採取日、採取者、採取場所、同定人、標本番号、科名などから検索することが可能です(基本システムは文字検索です。)。また、各項目のチェックボックスにチェックを入れると、その条件を満たす植物種が表示されるシステムになっています(注意1)。 ご希望とする検索方法がある方は連絡をいただければできるかぎり対応したいと思います。 注意1:項目の異なる複数のチェックボックスにチェックを入れるとエラーが出る。例えば項目1と項目2にそれぞれチェックを入れた場合など正しい結果が出ない場合がある。

■植物標本画像の取得方法

植物標本画像の取得には、EPSON社製のスキャナーES-7000Hを使用しました。 ES-6000HSES-6000Hについてもスキャンを行いましたが、取り込み時間がES-7000Hと比べて約4倍かかることが明らかになったため、ES-7000Hを採択しました。 ES-7000Hは中古で約1.5万円で買うことができます(最新のA3スキャナーは10万円くらいします)。スキャンするためには植物標本を上下逆さにひっくり返す必要があります。 この時、標本が破損してしまうことがあります。貴重な標本を破損させないために、スキャナー本体を上下逆さまにしました(リンク1 引用文献9)。 スキャンする際の植物標本位置を毎回同じ位置に設置する目的で、スキャナーの蓋にスポンジを貼りつけました(リンク2)。スキャン時に蓋と本体の間に隙間ができることを防止する目的で、発泡スチロールの箱を机とスキャナーの間に挟みました。 スキャン終了後、蓋が勢い良く開くと植物標本が落下し、標本が破損してしまう恐れがあります。これを防止する目的で、蓋が一定角度以上開かないように紐を使って調節しました(リンク3)。 標本の実際の色や大きさがスキャン後にわかるように、QPcard201QP card AB社)を植物標本とともにスキャンしました。シダ植物の同定を行う場合、胞子の形状の観察が必要になります。 そこで、標本画像はシダ植物の胞子嚢群の形状が確認できる解像度である400dpiとしました。 画像を効率よく表示するためZoomify技術(http://www.zoomify.com/)が導入されています。

■島根県の植物目録(仮)

瘻コ喜則氏の論文(引用文献2-8)に記載されている植物種の情報、今回整理された島根大学および島根県立三瓶自然館に収蔵されている標本の情報、島根県庁から出されている島根県の絶滅危惧種の情報を統合し、島根県の植物目録を作成しました。本植物目録には、1972421種の植物情報が記載されています(リンク4)。また本植物目録から619種の植物の実物標本が見つかっていないことが分かりました。 デジタルデータ化された本植物目録は他県の植物情報と比較することが可能です。デジタル化されたデータがあれば、各都道府県の植物状況の比較をしていくことも可能と考えられます。

■種の同定について

種の同定は慎重に行なっていますが、同定が間違っている可能性もございます。同定が間違っている標本を発見された場合は、「間違っている」ボタンを押していただけると島根大学(秋廣)および島根県立自然博物館(井上)に情報が送られるシステムになっています。報告していただいた標本は、再度同定をやり直し正しい情報に更新いたします。 我々の同定が正しい場合には是非「正しい」のボタンを押していただければと思います。

■データベースの構成について

当標本館のデータベースは、画像データ(jpg形式)とエクセル形式のマスターデータから構成されています。 動的Webサイト方式(必要な情報を必要な時にデータベースから適時抽出し表示する方式)が採用されているためHPの更新作業がほぼ不要となっています。

■生物多様性の保全と環境問題に関する普及教育

標本館のサーバーPCは島根大学 生物資源科学部内に設置されています。 現在までに35人が同時にサーバーにアクセスしても問題なく動作することを確認しております。小・中・高校・大学の実験や実習等でご利用いただければと思います。 サーバーメンテナンスを不定期で行いますので、事前に連絡いただければ御対応いたします。

【普及教育案1】 身の回りの植物の名前を調べてみよう!

1.    学校または家庭周辺の植物を採取する。

2.    植物標本を作成する。
以下のサイトをご参照ください。
http://hitohaku.jp/rsc/seibutu/fujii/tukurikata.htm
http://www.tsm.toyama.toyama.jp/_ex/tyou_tai/page002.html
http://saitamanomori.net/colum/hyouhon.html

3.    植物種の同定システムiPisを利用して種の同定を行う。

4.    採取した植物が県内のどこでいつ採取されているかを調査する。

*作成した標本とデータを大学まで送って頂ければ標本画像をスキャンして、デジタル標本館に収蔵することも可能です。

【普及教育案2】 自分の住む町の植物を調べてみよう!

1.    植物標本館のキーワード検索に貴校のある地域の名前を入力する(例.安来市)

2.    これまでに採取されている植物の情報(種数、標本点数、採取年)を調べる。

3.    今までに報告されている植物種をクラス全員で採集しに行く。または、これまでに報告されていない植物種を採取に行く。

4.    先に述べた普及教育例1に続く。

【普及教育案3】 身の回りの植物の名前を調べてみよう

本標本館は携帯端末(携帯電話、iPodiPad)にて閲覧可能です。
携帯端末を持って野外採集に行き、その場で当標本館または種の同定システムiPisにアクセスし、種の同定を行う。

■本標本館の利用に際して以下の注意事項をお守りください。

1.    本サイトの画像・文章等を転載する事を禁止いたします。

2.    商用目的での利用はおやめ下さい。

3.    本サイトの利用により生じる一切の損害につき、秋廣研究室、島根大学生物資源科学部、島根県三瓶自然館、島根県庁、陸前高田市博物館、T.R.Workersは一切責任を負わないものとします。

4.    本サイトを植物種の生育場所を特定するために利用することを禁止いたします。

■謝辞

本標本館の構築にあたり、島根大学生物資源科学部生物科学科の教員の皆様および学生のみなさんに多大なるご協力を頂戴いたしました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
また、本事業は平成22年度 島根大学生物資源科学部 学部長裁量経費のご支援を賜りました。重ねて御礼申し上げます。

引用文献

1.    井上雅仁・松村美雪・野上篤孝(2009)瘻コ喜則氏植物標本目録(T). 島根県立三瓶自然館収蔵資料目録 第11号 1-173

2.    瘻コ喜則(1989)島根半島の植生と植物相V・シダ植物相. 山陰地域研究(自然環境) 第5号 121-131

3.    瘻コ喜則(1990)島根半島の植生と植物相W・種子植物相. 山陰地域研究(自然環境)第6号 87-104

4.    瘻コ喜則(1991)島根半島の植生と植物相X・水生植生と単子葉植物相. 山陰地域研究(自然環境) 第7号 67-81

5.    瘻コ喜則(1998)木次町尺内(昆虫の森)の植生と植物相.ホシザキグリーン財団研究報告 第2号 109-120

6.    瘻コ喜則(1997)島根県のシダ植物相.ホシザキグリーン財団研究報告 第1号 221-232

7.    瘻コ喜則(2005)島根県の種子植物相.島根県立三瓶自然館研究報告 第3号 1-49

8.    瘻コ喜則(2006)島根県の種子植物相(補遺).島根県立三瓶自然館研究報告 第4号 41-43

9.    徐栄倍・趙成皓・李雄・朴宰弘(2006)朝鮮島産中井猛之進の基準標本画像データベース構築のためのスキャナーの利用.日本植物分類学会誌 61) 55-58

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